サンゴ礁保全学術委員会
 

サンゴ礁保全学術委員会からのお知らせ

2019/10/03沖縄県辺野古の環境影響評価に関する要望書の提出について

                                    令和1年9月30日

         沖縄県辺野古の軟弱地盤改良工事に係る環境影響評価と
            その結果を踏まえた対策を求める要望書

防衛大臣   河野太郎 殿
沖縄防衛局長 田中利則 殿
環境大臣   小泉進次郞 殿
沖縄県知事  玉城デニー殿

                            一般社団法人 日本サンゴ礁学会

 普天間飛行場代替施設建設事業により、名護市辺野古沿岸海域では、学術団体・環境保全団体
からの度重なる危惧の表明と要望にもかかわらず2018年からは土砂投入による埋め立て工事が開
始されています。サンゴ礁の埋め立てというサンゴ礁生態系保全にとって不可逆的な開発行為と
して、日本サンゴ礁学会は本件の発生以来その動向を注視し関係団体とも連携してきました。20
14年以降の調査において、北側の大浦湾の埋め立て予定地東部の海域で軟弱地盤が確認されたこ
とにより、軟弱地盤の改良工事(以下、改良工事)を行うため砂杭を打ち込む工法への変更が計
画されています。この設計変更を受け、日本生態学会自然保護専門委員会は、砂杭を打ち込む工
法への変更を行う海域について、生物多様性調査を含む環境影響評価を実施することを要望して
います(「沖縄県辺野古・大浦湾のサンゴ礁生態系の環境アセスメントを求める要望書」防衛大
臣、沖縄防衛局長、環境大臣、沖縄県知事宛、2019年4月8日付)。

また、本学会においても支持を確認した「著しく高い生物多様性を擁する沖縄県大浦湾の環境保
全を求める19学会合同要望書」(防衛大臣、沖縄防衛施設局長、環境大臣、沖縄県知事宛、2014
年11月11日付)においても指摘されているように、大浦湾は、多様な環境からなる世界的にも貴
重な内湾性サンゴ礁生態系を形成しており、湾の各所に貴重なサンゴ群集が存在します。大浦湾
埋め立て予定地東部(大浦湾西部)の深場には、砂泥底に特徴的な造礁サンゴが生息しています
が、そのほかにも未記載種を含む特異な生物の存在が予想されます。大浦湾のサンゴ群集をはじ
めとする生態系の維持には、深度や季節により変化する大浦湾の複雑な潮流パターンが重要であ
ると考えられます。

 改良工事は水深30m程度の海底で行われると想定されるため、海底谷から湾奥に至る海流の状況
によっては、懸濁物の流動等により大浦湾の注目すべき貴重なサンゴ群集や砂泥底に生息する生
物に多大な影響を与えることが危惧され、厳密な施工管理の検討が必要になるとともに、改良工
事が環境影響評価法が認める軽微な変更に該当しない可能性があります。さらに、改良工事に用
いる砂の採取地での採砂工程や、工事船の避難地となる近隣海域での投錨による海底環境の攪乱
など、工事を行う海域のみならず他の地域や海域に影響が及ぶ可能性が考えられます。

 改良工事に関しては、政府により「普天間飛行場代替施設建設事業に係る技術検討会」が設置
され、第1回の会合が2019年9月6日に行われました。当該委員会は護岸や埋立地等の設計・施工・
維持管理に関する提言・助言を行う役割を担っており、改良工事に用いる砂の採取地や工事船の
避難地となりうる近隣海域など、影響が及ぶ可能性のある他の地域・海域を対象とした議論は行
われていません。また、従前より設置されている「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監
視等委員会」においては、改良工事に係る環境影響に関する議論は未だ行われていません。改良
工事の影響が及ぶ可能性のある他の地域・海域も含めた改良工事計画の全容の開示を行った上で、
必要な環境影響評価とその結果を踏まえた適切な対策を行う必要があります。

日本サンゴ礁学会は、日本生態学会及び19学会合同の要望書と、「普天間飛行場代替施設建設事
業に係る技術検討会」及び「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会」における
これまでの議論内容を踏まえ、以下の点を強く要望します。

1) 改良工事に用いる砂の採取地や工事船の避難地となりうる近隣海域など、影響が及ぶ可能性
  のある他の地域・海域も含めた改良工事計画の全容の公表を早急に行うこと。
2) 改良工事の規模から生物への多大な影響が危惧されるため、生物(特に深場の生物)を対象
  とした環境影響評価を行い、その結果を踏まえた当該計画の見直しを含む適切な対策を行う
  こと。
3) 改良工事の影響が及ぶ可能性のある他の地域・海域に対しては、採砂工程や船の停泊が及ぼ
  す影響など土地改変以外の事象も含めて環境影響評価を行い、その結果を踏まえた当該計画
  の見直しを含む適切な対策を行うこと。

                           本件に関する問い合わせ先
                           一般社団法人日本サンゴ礁学会会長
                                       日高道雄
                                サンゴ礁保全学術委員長
                                       山野博哉

要望書はこちらをクリックすることによりダウンロードできます。

 

2019/04/182019年度日本サンゴ礁学会 サンゴ礁保全奨励賞の公募について

日本サンゴ礁学会サンゴ礁保全学術委員会

委員長 山野博哉

 

日本サンゴ礁学会では、2019年度日本サンゴ礁学会サンゴ礁保全奨励賞候補者の推薦を公募いたします。多くの方々からの応募をお待ちしております。

 

*応募要領及び書式ファイルは↓からダウンロードできます。

サンゴ礁保全活動奨励賞公募2019

 

1.サンゴ礁保全活動奨励賞

 サンゴ礁保全奨励賞は、サンゴ礁保全に関するさまざまな活動を行っている個人、NPO・企業・研究室・学校などの団体に贈られるもので、受賞者には賞状が授与されます。推薦者の方(自薦も可)は、応募書類一式を本年9月2日までに(当日消印有効)、郵送あるいはメールの添付書類にてサンゴ礁保全学術委員長山野宛にお送り下さい。応募書類は返却致しません。

 

2.応募書類および送付先

応募書類:別紙の書式でご提出ください。

応募締め切り:2019年9月2日(月)当日消印有効

送付先:

E-mail; hyamano◎nies.go.jp(◎を@にして送信ください)

〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2

国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター 山野博哉宛

Eメールの場合は、件名を「サンゴ礁保全奨励賞応募」として下さい。郵送の場合は、「サンゴ礁保全奨励賞応募書類在中」と朱書して下さい。

受け取り確認後ただちにメール等で受領のお知らせをいたします。メール不達等のトラブルの可能性がありますので、応募後1週間を過ぎても受領のお知らせの無い場合はお手数ですが上記にご連絡下さい。

 

3.応募要件

被推薦者は、現在学会員または応募後に学会に入会する意思がある方とします。

 

4.選考方法

選考は日本サンゴ礁学会サンゴ礁保全学術委員会が行い、活動の独自性、継続性、波及効果、情報発信力などを評価します。審査は応募書類のみで行い、採否の通知は10月半ばまでにメール等にてお知らせします。

 

5.受賞式

日本サンゴ礁学会第22回大会期間中(11月8日-11日)に表彰を行います。本年は北海道大学で大会が開催されます。

 

 
 

< 4 5 6 7 8 >

 
PageTop